『男はつらいよ』寅さんの妹のさくらの髪飾りに注目する
最近夫が毎週土曜日にBSで放送している『男はつらいよ』を見ていてます。
私も一緒に見るともなしに見ているうちに…
ハマってしまいました。
この年になって(X才)初めて寅さんの魅力に気づきました。
いいっ!
寅さんいいっ!!
『男はつらいよ』はシリーズ49作も作られた人情喜劇として絶大な人気を誇る作品ですが、私は日本のその時代時代の空気を写し撮ったファッションの記録映画としても楽しんでいます。
最初はマドンナさんたちの素敵な衣装やレトロな小道具に目が行きました。
あー昔こんな服が流行ってたよなーとか、そうそう昔ポットの柄はこんな感じだったとか。
そんな楽しみ方をしているうちに、ふと気づいた。
あ、寅さんの妹さくらさんも映画ごとに髪飾りを変えている…
さくらさんは髪をいつも低い位置での一つ結びにしていて一見とても地味。
だけど必ず髪飾りをしています。
多分その時代に流行したであろうものを。
細いリボンだったり、少し大きめのビーズをゴムで編んだものだったり、光沢のある革の筒だったり。
↑(ほんの一例)
彼女はあまり経済的には恵まれてないけど、それでも自分ができる範囲のおしゃれを楽しんでいる…
さくらさんの髪飾りに、私は彼女の精一杯を感じました。
そして、この人はとても他人を大事にする人だけど、同じように自分も大切に扱っているなあと思った。
それに気づいてからはマドンナさんたちの衣装とともにさくらさんがどんな髪飾りをしているかを見るのが楽しみになりました。
もちろんお話も楽しんでいます。
(ここからは内容に少し触れます)
『男はつらいよ』はテキ屋を生業とするフーテンの寅さんとその妹のさくら、葛飾柴又にある団子屋とらやを営むおいちゃん夫婦、そしてその時々に、寅さんが恋するマドンナさんの交流を描いた物語です。
明るく楽しげに暮らしていますが、さくらさんをはじめ、とらやのみんなはなりたかった自分と現実の差にやるせない思いを抱いています。
おいちゃん夫妻は子供に恵まれなかったことに寂しい思いをしているし、さくらさんは憧れのピアノを置くことも出来ない小さなアパートでのつましい暮らしに惨めさを感じるときがある。
寅さんだって本当は渡世人としての自分を100%良しとしているわけじゃない。
けれど皆、自分以外の何者にもなれない自分をちゃんと受け入れて、ささやかな幸せ求め一生懸命生きている。
家族や他人を思いやりながら。
とらやの皆さんとはほんとにお人好し。
あ、お隣に住むタコ社長さんも。
そんな登場人物の間で繰り広げられるドタバタとしたコミカルなシーンに笑わせてもらっています。
けれど笑ったあとにそれぞれの人が抱える事情やお互いを思う気持ちが行き違ってしてしまうことに切なさを感じる。
この面白さとなんとも言えない切なさがセットになっているところが『男はつらいよ』の味。
その時々の旬の女優さんが演じる寅さんが恋するマドンナもキラキラしていてこれまた素敵。
そしてなにより日本の各地の風景に溶け込むの寅さんの姿が美しい。
私は寅さんってどんな人?って尋ねられたら、正直で美しい人と答えたい。
佇まいも、心持ちも、操る言葉の一言一言も。
ごろ寝していても、酔っ払っていても、暴れていても寅さんには寅さんのブレない美しさがある。
その寅さんを演じる渥美清さん、見事です。
そしてその寅さんと同じDNAがきっちりさくらさんにも入ってると思う。
流れ者暮らしの寅さんと地道に生きるさくらさんは一見対極にいるように見えますが、二人はとても似てる。
同じテンションで人を思いやる寅さんとさくらさんを見ていて、あんたたちやっぱり兄妹だよってちょいちょい突っ込みたくなります。
さくらさんの髪飾りに注目しているせいか、わたしには彼女は後ろ姿のシーンが多いように感じました。
さくらさんに限らず、この映画登場人物を後ろから映しているシーンが多い。
(あくまでも自分が感じた感覚です)
みんなが誰かを優しく見守っている。
ああ、なんだか大袈裟な語り口になっちゃったな…
妹キャラが人気のご時世ですが、駄目な兄(寅さんは駄目な兄じゃないけどっ)をただひたすら慕って心配してくれる妹って、男の人にとっては普遍的な憧れの対象なんだろうな…なんて思ったりもしました。
倍賞千恵子さん演じるさくらが発する「お兄ちゃん!」ってセリフ、ほんとに可愛いです。
若い人にも見てもらいたいな〜
(私もちょっと前までは全然興味なかったけど(~_~;))
長い間『男はつらいよ』はおじさんが楽しむ映画だと思っていたけど、今は万人がいろんな楽しみ方ができる映画だと思っています。
実は私、シリーズ数作しか見ていない寅さん初心者。
(しかも第一作目を見てない…)
これからコツコツと楽しみながら残りの作品を観てゆきたいと思います。
初投稿は『男はつらいよ』について語らせていただきました。
ご挨拶が遅れましたが、私は子育て終えた主婦のちふと申します。
語らせて頂いたことはあくまでも一主婦の『男はつらいよ』シリーズ数作を観ての感想であることをご了承下さい。
こんな風に感じたことを時にぽそぽそ時にハフハフ語ってゆきたいなと思います。
下手な漫画なども入れながら。
月に一度か二度程度の投稿になるかとは思いますが、ゆるーくお付き合いいただけたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました✨